【完】俺様キングと秘密の極甘kiss★
「叶わねーな……」
東野君がボソッと何かを呟いたかと思う
と、私に目を向けた。
相変わらずの優しい微笑みに少し、ドキ
ッとしてしまう。
「……春」
急に私を名前でよんだ東野君は、いたず
らっ子のように笑って。
「また、"千尋"って呼んでくれると嬉し
いんだけどな。……だって俺ら、友達だ
し?」
最後の方は棗を見ながらそう言って、ク
スクスと楽しそうに笑うと階段に向かっ
て行った。
ゆっくり離される身体と、あちゃー、と
いう美怜の表情。
なんだか顔をあげられるような雰囲気で
は無くて、ずっと俯いていると、上から
低い声が聞こえてきた。
「……こっち向けよ」