【完】俺様キングと秘密の極甘kiss★
一瞬、世界が凍りついたような錯覚を覚
えてしまい、何度か瞬いてから、ハッと
我にかえる。
傍観者の俺でさえ、こんなにもダメージ
をくらったんだ。佐藤くん、きっと立ち
直れないくらいの大ダメージだったろう
なぁ……。
案の定、彼は力なく笑うと、病人のよう
によろよろと頼りなさげに戻っていった
。
しかし、ずっと倉沢さんはそこから動か
ない。―――つまり必然的に、俺も動け
ないという事で。
なんで動かねーんだよ、と不思議に思い
ながら様子を伺っていると、不意に、倉
沢さんがクルッと方向転換して。
しかもそれがまんま俺の方向だったので
ドキッと嫌な音を心臓が立てた。
「おーい、優希くーん。そこに居るのわ
かってるよーっ?」
突然、そんな風に名前を呼ばれて、ビク
ッと身体が跳ねてしまう。
こ、この距離で気づかれてたなんて。