【完】俺様キングと秘密の極甘kiss★
ゴクッと喉が鳴る。
まるで餌をぶら下げられた動物の様だっ
た。
棗の声は、まるで甘い誘惑。すがりたく
なるような悪魔の囁き。
「っあ―――……」
「まあ、でも」
私が、教えて欲しい、と言おうとした瞬
間、スルッと離れていく棗の体温。
私はおあずけを食らった気分だった。
それにさっきはあんなに揺さぶるような
声色だった棗も、今は酷く冷たい声にな
っている。
「な、つめ……」
「春は、俺になんか教えてほしくないん
だもんなぁ?」
冷たい声。蔑むような瞳。
怖くて、きゅうっと喉が萎縮して、声が
出てこない。