【完】俺様キングと秘密の極甘kiss★
「だったら俺がこんな風にしても、無駄
だよな?」
そう言いながら、ドアの方に向かってい
く棗。
棗が遠くて、なんだか切なくて、突き放
されたみたいで、胸が苦しい。
「棗っ―――……」
「何」
思わず呼び止めたら、こっちを振り向い
た棗の声は冷たくて。
それ以上なにも言えなくて、静かに首を
振ると、棗は何も言わず出ていった。
―――ポトリ。
一滴、頬を伝った涙の意味も、今はわか
らないまま―――……。
「はぁ?喧嘩したぁ?」
翌日。
元気のなかった私を、中庭に連れ出した
美怜。