【完】俺様キングと秘密の極甘kiss★




ポロポロとどんどん溢れ出す涙を、止め
る方法がわからない。



結局、棗に言いたいことも胸のモヤモヤ
も、「ヒック」という嗚咽に変わるだけ
だった。



その瞬間、クイッと顎を掴まれて、棗の
方を向かされて。



棗が切なそうに目を細めた。



「……やっぱり、泣いてるじゃん」



それから棗は、ちゅ、と私の目の下にキ
スを落として。



ピクッと反応する私になんて目もくれず
に、舌で器用に涙を掬った。



……恥ずかしい。恥ずかしい、のに。



舌から伝わる体温と、温かい吐息がくす
ぐったいのに気持ちよくて。



―――うっとりと、していたら。



棗に睨まれて、慌てて覚醒する。






< 65 / 445 >

この作品をシェア

pagetop