【完】俺様キングと秘密の極甘kiss★
ポロポロとどんどん溢れ出す涙を、止め
る方法がわからない。
結局、棗に言いたいことも胸のモヤモヤ
も、「ヒック」という嗚咽に変わるだけ
だった。
その瞬間、クイッと顎を掴まれて、棗の
方を向かされて。
棗が切なそうに目を細めた。
「……やっぱり、泣いてるじゃん」
それから棗は、ちゅ、と私の目の下にキ
スを落として。
ピクッと反応する私になんて目もくれず
に、舌で器用に涙を掬った。
……恥ずかしい。恥ずかしい、のに。
舌から伝わる体温と、温かい吐息がくす
ぐったいのに気持ちよくて。
―――うっとりと、していたら。
棗に睨まれて、慌てて覚醒する。