痛々しくも生きている
「さーって、そんじゃカマ男探しといきますか!」

「はぁ……。お前ただでさえ学園のこと知らねーくせに探すとか…。命知らずにも程があるって」

「は?なんで普通の学園ライフのために命かけなきゃなんねぇんだよ」

「普通ぅう?おまっ……まだ言うか!
だからこの学園は普通じゃねぇ、…………って聞けよ」



フラフラと寮内を彷徨(うろつ)くアタシに呆れるきょうちゃん。

だってスゲェんだもん。

エレベーター移動だとか遊休場があるとかミニ図書館があるとか喫茶店があるとか……。

設備整い過ぎて逆に引くわ。


これで寮のより、学園内の方が設備整ってるっつーんだぜ?

マジどんだけー。

ここはホテルかってぇーの。


そんなアタシに苦笑しながらも「まぁな」とか言ってるきょうちゃんは、そんなにも驚いていない。


なんでだ?


そう思ってきょうちゃんを見つめていると、そんなアタシの視線に気づいたきょうちゃんが「何?」と聞いてきた。



「いや……なんでこんなスゲェ設備なのにきょうちゃん驚いてねぇのかなー…と思って」

「あー、愁に言ってなかったっけ?俺ン家(ち)、いわゆる金持ちみたいなもんだからさー」



そう言って、ははっと笑うきょうちゃんだけど。笑えない、全ッ然笑えないんだけど。



「…てことは、きょうちゃんって【お坊っちゃま】?」

「んー、そんなもん」

「へ、へぇー……」



なんか、次元が違ぇ。

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