痛々しくも生きている
部屋の奥から出てきた女の子……じゃない。女装男子はホントどこから見ても女の子にしか見えない。


そこらの一般女子より可愛いと思うぞ。



「ん?もしかしてアンタが風紀委員長なのか?」

「うんっ、そうだよ!僕の名前は
【呉杷 桜江】(くれは おうみ)。
よろしくね、えーと……」


「アタシの名前は【武藤 愁】だ。
よろしくな」



そう言って手を出すと呉杷委員長も手を握り返してくれた。



「えっと、ところで愁ちゃんは何でこんなところにいるの?ミナリンが連れこんだ?」


「あ、いや。アタシがカマ…ミナリンを探してただけなんだ。それで着いてきただけで……迷惑だったか?」

「ぜんっぜん!」



あどけなく笑う呉杷委員長はやっぱり女の子にしか見えなくて。

……ほんとうに男なのか?



「呉杷委員長は何で女装してんだ?」

「ん?それはねー……」



アタシの些細な疑問にさえ丁寧に答えてくれる呉杷委員長ってホントいい人だと思う、切に。


だけど委員長の口から出たのはトンデモビックリな答えだった。



「我ら風紀委員は代々、【女装風紀委員】として学園の平和を守っているからなのだ!」

「………。」



いやそれ逆に風紀乱してますがな。

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