輝龍―崩壊篇―【完】
「今回は正面から攻める。」
ゴクッ
誰かが息を飲む声が聞こえた。
「もちろん、策があるからこそだ。しかし、この策は言わない。事情があってな。」
「それは…言わなくても上手くいくから…ですか?」
これは、中本組の若頭中本 恭(ナカモト キョウ)。たぶん全員が思っているであろうことを聞いてきた。
「あぁ。いや、言わない方が上手くいく、の間違いだな。」
俺がそう言うと納得したようで、うなずいた。
「正面から入った後は、そのまま組長室まで攻めろ。それからは俺に任せてくれ。」
全員不思議そうな顔をして戸惑っていた。
でも、
「「はいっ!」」
全員元気に返事してきたから、俺は密かに安心した。