愛して
愛って
「あ、や…っあ、」
目の前で震える一人の青年に、
怖いぐらいの笑みを浮かべながら、近づいていく少年。
その少年の手には、ホカホカのご飯。
「どうして、怯えるの?さあ、ご飯だよ」
コトッといい音を立てて、青年より少し遠いところにお椀を置く。
がたがたと震えながら、青年はジャラリと言う金属音とともにお椀に手を伸ばす。
すると、その手が、少年によって払われる。
「何度言ったら分かるわけ?手は使うなって言ってるじゃん」
「あ、ご、めんなさ…」
「ダメ、許してやんない。後でお仕置き」
そう言って微笑むと、「早く、食べてよ」と言う。
青年は一切目を合わさずに口でお椀を引き寄せ、ご飯を食べ始める。
何故分からない?
僕は、こんなに、君の事を愛してるのに。
何故、君は、僕を見てくれない_?
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