愛して
僕の母親は詐欺師だ。
『貴方達なんて、只のお金のための道具よ。気付いてなかったの?』
母は僕たちに出逢う前からとある男性と付き合っていて。
でも、その人と付き合うにはお金が必要だから、僕らを利用してお金を取ろうと思ったらしい。
僕の父親は温厚で優しい人で。
母がターゲットにするのにぴったりな人だったらしい。
父と母は仲が良いと近所からは評判で。
お金もそれなりに持っていたし、町内の人気者だった。
但し、結婚をしておらず、周りから早く結婚してしまいなさいよと言われるにも関わらず、ずっと結婚しないでいたらしい。
それから、少し経って、僕が生まれて、家庭は賑やかになった。
家からは笑い声が耐えなくて、幸せだった。本当に、幸せだった。
なのに、何時だっただろうか。
ある日の夕食、急に母がこんなことを言い始める。
『ねえ、貴方、別れましょう?』