愛して
嫉妬
side 博人
「ね、博人。今日はどこ行ってたの?昨日も僕、会えなくてさびしかったんだよ?」
一学年上がった頃、泪が急に俺の事に対して敏感になった。
確かに、クラスが離れてしまい、話す機会が減った。けれど、此処までも気にするか?
毎回毎回、休みになると俺のクラスに来て「何かあったか」、「誰といたか」と。
さすがに周りの人もびっくりしている。
さらに、最近は俺の個人の事にまで探りを入れるようになった。
「うん、今日は買い物でね。どうしたんだよ。急に」
「…いや、別に。なら、いいんだけど」
といつものように無邪気な笑顔を見せる泪。
…俺が、気にしすぎなんだろうか。
そう思っていると急に話しかけられる。
「ねえ、博人」
「ん、何だ?」
「今度、遊びに行かない?出来れば今週の日曜。面白い映画があってさ!独りで行くのも嫌だし…」
と少し気恥ずかしそうに此方を見てくる。
映画のタイトルを聞いたら、「欲」という何ともシンプルな答えが戻ってきた。
まあ、俺も、その日は多分暇だろうし、おっけーしておいた。
12時に駅前集合。
………あれ、こんな約束、誰かともした覚えがあるな。
そんな疑問を抱えながら、俺は家に帰った。