愛して

side 博人


泪との買い物を終えた次の日。
また学校か、憂鬱だなあなんて思いながら登校する。学校に着くまでの間に何人かの生徒に此方を見て、ヒソヒソと会話をしているのが見えた。
嗚呼、そういえばあの子たちは俺が昨日待ち合わせていた子の友達だったっけ?肝心のその子はいないけど、昨日来れなかったことを謝ろうとしてくれてんのかな。
そんなことを考えて、「あのー…」と話し掛けると見事にそれをかわされ、少し傷つく。
え、何だったの。
疑問に思いながらも学校に着いて、教室に着いた瞬間。俺が入ってきたのを見るなり、シーンと静まり返る教室。
ヒソヒソと話す人の声、冷たい目。何なんだ、一体。
そう思っていると、後ろからトントンと肩を叩かれる。振り向くと其処には先生がいた。


「寿。少し、いいか」


「え、あ、はい」


険しい顔をして此方を見てくる先生に少し違和感を覚えて。何があったっていうんだ。
分からない。
俺は只、目の前に歩いている先生の後を付いていくしかなかった。
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