愛して
side 博人
「う、嘘だ…っ!だって、お前は、毎回毎回俺に………」
「うん。縋る"フリ"してたんだよ?博人ったら簡単に僕の演技に騙されちゃうんだもの」
クスクスと愉快そうに笑いながら話す相手は悪魔のようで。口から口から出てくる言葉全てが信じられなかった。
俺のため?嘘だろ?
ぐるぐると頭の中がぐちゃぐちゃにかき乱される。じゃあ、全部、全部…。クラスの女子がいなくなるようにしたのも、唯が俺から離れていくようにしたのも、全部、俺の為にやったってことか?
俺はふ、と泪の方を向く。泪は優しく微笑むと俺の頬に手をやった。
「…そういえばさあ。その僕が殺しちゃった女だけど、其れの死体が見つかると、やばいのは僕じゃなくて博人なんだよね」
「はあ…?」
「だってさあ、その女殺すのに使ったのタオルなんだけどさ。そのタオル、実は博人のなんだよね。ほら、覚えてない?僕が博人の家に行ったとき、お気に入りのタオルが無くなって。博人すっごく怒ってたから返そうかどうしようか悩んだんだけどさ、結局タイミング失って返せなかったんだよね。で、ちょうどその女を殺すときに持ってたのがそれでさあ。もったいなかったけど、仕方なく」
ずらずらと相手が言っている言葉はもう耳に入ってきていなかった。