ハクモクレンの花
「花に逢うなんて、変な言い方だな」

僕はそう言いながら、頬を寄せ合って本の中の花びらをのぞき込んだ。

フランチェスカの頬はツルツルして弾力があり若さを象徴していた。


僕はフランチェスカの若さを、もうたいして若くない自分の頬で感じながら、彼女の細い指の先にある文字に目をやった。


「ハクモクレン」


胸が鳴って、激しく打ち始めた。


奥に有って隠れていたものが、ザワザワと動き出した。


そして、それは止まらなかった。

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