ハクモクレンの花
フランチェスカは僕の目を覗き込んだ。

黒い瞳が月夜の闇に隠れて漆黒に光った。


「ハクモクレンの五郎」

僕は心の中でつぶやいてみた。


大きな流れがあった。

何処に向かって流れて行くかはわからない。

だけど、ただそこに有る大きな流れ。

僕は立ち上がった。

行くべきだと思った。

こことは違う別の場所へ。


フランチェスカも立ち上がった。


「僕もこの花に逢って見たくなったよ」

僕は吸い込まれそうな黒い瞳を見ながらフランチェスカに言った。

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