ハクモクレンの花
「怒ったりはしないんだね」


「怒ったりはしない。

怒る理由なんて何処にも無い」


健太郎君は五郎の言葉を聞いてほっとしました。

そして、いつくしむ様にそっと白い花を手に取り、鼻を近づけました。

甘い香りが肺の中いっぱいに広がりました。


そして火事の中で意識を失いながら、かいだにおいと同じだと思いました。

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