ハクモクレンの花
再び中庭の見える廊下に出ました。

さっきよりも煙の勢いが増していました。

そして炎は健太郎君のいる八階の病室まで広がっていました。


いくらタオルで口と鼻を覆っても、黒い煙が容赦なく健太郎君の肺の中に入って来て、意識が遠くなりました。


意地を張らずにお母さんの言うことをきいておけば良かったと思いました。


そしてハクモクレンの花はどんな形だったのだろうとぼんやりした頭で思いました。

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