ハクモクレンの花
健太郎君は真っ逆さまに落ちて行きました。


落ちながら、ハクモクレンの声を聞きました。


それは穏やかな声で、落ちて行く事が全然怖くなくて、とても一瞬の出来事だとは思えなかったけど、耳の奥まで届きました。


「重さのある物同志は引き合うんだ」

とハクモクレンは言いました。


「それを難しい言葉で言うと分子間力というんだ。


重力もそのひとつさ。

今君は地球に引き寄せられている。

君も地球を引き寄せている。

今、感じているね。

これが重力さ。

だけど人にはもうひとつだけ、力があるんだよ。

目に見えない力が。

それが何だかわかるかい?」

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