ハクモクレンの花
「やあ。

ひさしぶり」


健太郎君はポケットに手を突っ込んだまま、低くなった声で言いました。


「ああ。

本当に久しぶりだね」


ハクモクレンの五郎は変わらない声で答えました。


でも健太郎君は五郎が幾分小さくなった気がしました。


それは風のさえぎるものがなく、アスファルトに覆われた広場の真ん中に、長い間立っていたせいかもしれないし、あるいは、自分自身が大きくなって、子供の頃に感じた五郎の大きさの印象が残っているからかもしれないけれど、少し寂しくなって、二人の間にとてつもなく長い時間が流れた事を実感しました。

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