副社長は溺愛御曹司
「すでに登場している大型のポータルが、個人のコンサルタントとしてすべての情報を管理し、提供する時代が、確実に来ます」
「すると、御社の、活路は」
「そこが、頭を悩ませているところで」
インタビュアーを見すえて、にやりと笑う。
イレギュラーな質問に、これ以上は答えてやらない、というポーズだ。
インタビュアーは、少し黙ったあと、楽しそうに破顔すると。
何事もなかったかのように、予定どおりの質問項目へと戻った。
「なんで、いいよ、使ってもらって」
「ですが…」
佐々木さんが困り果てたような顔でヤマトさんに言う。
取材が終わったところをつかまえて、さっきの部分はカットしてもらいますから、とあわてふためいて伝えたところだった。
「別に間違ったこと、言ってないし」
「杉田社長のご了承は」
「俺に投げた時点で、あのくらい想定してるよ」
確かにそうだ。
杉田さんは見た目こそ地味だけど、なかなか話のわかる人で。
ああしてヤマトさんが少し乱暴をしても、上がった記事を見て、あははと笑いとばす器量を備えている。
「CEOには俺が怒られとくから、いいだろ。広報には、とばっちりが行かないようにするし」
「はあ…」
いい加減あれこれ言われるのが嫌になったのか、すねたように言うヤマトさんに、佐々木さんが言葉を失う。
私は水のペットボトルを開けて、ヤマトさんに渡した。
取材がかなり押したため、次の予定までそう時間がない。