副社長は溺愛御曹司
祐也は、人材斡旋の大手でキャリアアドバイザーをしている。

忙しいというよりは、時間の自由が効かないっていう、私と同じタイプの職種だ。


私の部屋に上がるなり、疲れた、とベッドに倒れこんだ。

もう日付の変わる頃だ。

朝はゆっくりめとはいえ、毎日この時間まで働くのは、相当くたびれるだろう。



「勤務時間は、すずも似たようなもんだろ。在社12時間切ること、ないだろ?」

「たまにあるし、こんなに遅くならないよ」

「すげえ早く出てくじゃん」

「朝は得意だから」



そうだったよな、とワイシャツ姿でベッドにうつぶせた祐也が笑う。

私たちは、どちらも教室に一番乗りするタイプで、それで仲よくなったのだった。


ねえ、と呼びかけると、何、と眠そうな返事がある。



「もう、こういうの、やめようよ」



あまり意を決した感じにならないよう、けど真剣味は伝わるよう、自分の声をコントロールするのに苦労した。

枕に顔をうずめていた祐也が、頭を起こす。



「彼氏でもできた?」

「そういうんじゃないけど」



じゃあ、いいじゃん、と言いながら、細身で背の高い姿が私の隣に降りてきた。



「半端すぎるでしょ」

「じゃ、つきあっちゃおうよ」



何言ってんの。

何度、そんなことをくり返してきたの。

また同じことして、どうなるの。

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