副社長は溺愛御曹司
ヤマトさんが戻る前に、秘書課長に呼び出され、久良子さんと和華さんに留守を頼んで会議室を訪れた。
秘書課長と人事総務部長を兼ねるこの木戸さんという人は、私の直属の上司にあたる。
そして会議室にはなぜか。
ヤマトさんもいた。
あれ、いつの間に戻ってきてたの?
その疑問が顔に出ていたのか、私と目が合うと、おかしそうに笑う。
前置きを好かない木戸さんが、黒ぶち眼鏡を少し直すと、さっさと核心に入った。
「ネットワークサービス事業を、大幅に拡大する計画があってね。そこに入ってもらうことになると思う」
「本当ですか」
そんな新事業に携わらせてもらえるの。
机の上で両手を組んだヤマトさんが、にやりと笑って言った。
「一年以内には、今のソフト事業部内の、パッケージソフトとネットワークサービスの割合が、逆転するよ」
すごい、事業の大転換だ。
そんな面白い現場に、立ち会えるんだ。
「そのための提携だからね。でもこれ、まだ秘密だよ。役員と人事の一部しか知らないから」
「かしこまりました」
指を口の前に立ててみせるヤマトさんは、妙に楽しそうだ。
例の提携が、思うとおりにまとまったんだろうか。
「なんでここに入ってもらいたいかっていうとね、神谷の新人研修時代の企画、あれが面白くてさ」
「えっ」
「社内にコミュニケーションサイトをつくって、そこで開発もできちまう。つまり社内的オープンソースだな」
ヤマトさんが、机の上にあった書類を見ながら言う。
木戸さんも、手元に同じ書類を持っているようだった。
見れば、それは当時私が提出した企画書だ。
うわ、なんでいきなり。
秘書課長と人事総務部長を兼ねるこの木戸さんという人は、私の直属の上司にあたる。
そして会議室にはなぜか。
ヤマトさんもいた。
あれ、いつの間に戻ってきてたの?
その疑問が顔に出ていたのか、私と目が合うと、おかしそうに笑う。
前置きを好かない木戸さんが、黒ぶち眼鏡を少し直すと、さっさと核心に入った。
「ネットワークサービス事業を、大幅に拡大する計画があってね。そこに入ってもらうことになると思う」
「本当ですか」
そんな新事業に携わらせてもらえるの。
机の上で両手を組んだヤマトさんが、にやりと笑って言った。
「一年以内には、今のソフト事業部内の、パッケージソフトとネットワークサービスの割合が、逆転するよ」
すごい、事業の大転換だ。
そんな面白い現場に、立ち会えるんだ。
「そのための提携だからね。でもこれ、まだ秘密だよ。役員と人事の一部しか知らないから」
「かしこまりました」
指を口の前に立ててみせるヤマトさんは、妙に楽しそうだ。
例の提携が、思うとおりにまとまったんだろうか。
「なんでここに入ってもらいたいかっていうとね、神谷の新人研修時代の企画、あれが面白くてさ」
「えっ」
「社内にコミュニケーションサイトをつくって、そこで開発もできちまう。つまり社内的オープンソースだな」
ヤマトさんが、机の上にあった書類を見ながら言う。
木戸さんも、手元に同じ書類を持っているようだった。
見れば、それは当時私が提出した企画書だ。
うわ、なんでいきなり。