Breathless Kiss〜ブレスレス・キス


「いいよ」


尚哉は奈緒子を真っ直ぐ見る。
拒否はしないとわかっていた。


「来て!」


ネクタイを半ば引っ張るようにして、奈緒子は自分の唇と尚哉の唇が密着するようにする。


「んっ……」


粘膜と粘膜が触れ合った途端、奈緒子は遠慮しない。

すぐに本気になる。


自分の舌を尚哉の口に侵入させ、大胆にくねらせる。

尚哉の舌を求めるように激しく動かすと、尚哉もそれに応える。


「うんんっ…」


奈緒子の喉の奥から、悩ましい声が漏れる。


キスだけなのに、まるでインサートされている時のような声。

粘り気のある、卑猥な音を立てて。


尚哉はされるがままで、主導権は完全に奈緒子が握っている。


生々しく舌と舌を絡ませ合いながら、尚哉の柔らかな舌をこねくり回し、弄ぶ。

そして、噛み付くようにさらに大きく口を開けて、彼の唾液を吸い、味わった。



夜の闇に紛れ、抱き合い夢中でキスを交わす。


金曜日の夜だ。

少しくらい誰かに見られたって構わない。



「…相変わらず、ヤバいキスだね……」


唇をわずかに離し、尚哉は溜め息のように言う。

大きな瞳が潤んでいた。








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