Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
「私、息が出来ないくらいのキスが
好きなの…」
奈緒子は掠れた声で言い、尚哉のスーツの身体を強く抱き締め、再度、唇を重ねた。
こうして、尚哉とキスをするようになったのは、約1年前からだ。
やはり、こうして、二人で飲みに行った帰りだった。
奈緒子から誘った。
それ以来、じゃれあって、時々するようになった。
(これって、ラブアフェアって
いうのかな…)
恋人じゃないのにする、
ノリでするキス。
遊びのキス。
どこか満たれないキス。
空洞のあるキス。
いつもそれを奈緒子は、
見て見ぬふりをしていた。
唇を離したあと、奈緒子は尚哉の身体に両腕を廻したまま、肩に頭を押し付け、彼の温もりを感じる。
その先もしたい…
奈緒子は切に願う。
身体の奥はとっくに火がついていた。
でも、決して口には出せない。
尚哉の両腕は奈緒子の腰に廻されているけれど、それは、手持ち無沙汰になってしまうから、そうしているだけで決して抱き締めたりしなかった。
奈緒子が好きに出来る尚哉のパーツは、唇と舌だけだ。
わかっていた。
「ねえ、明日はどうする?天気良いみたいだから、どこか行かない?」
歩きながら、奈緒子は尋ねた。