Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
今日の昼休み。
ありさに誘われ、
2人で校舎2階の女子トイレの個室に
こもった。
2年の女子で学校で煙草を吸う子は、ありさくらいだ。
奈緒子は学校では吸わなくなっていた。
これまでに2度、喫煙を見つかっていたから次に見つかれば、停学は確実だった。
さすがに停学になっては、両親に悪いと思ったし、恵也と一緒にいる時吸うから、学校ではやめておかないと喉が痛くなる。
だから、奈緒子はうまそうに煙草を吸うありさを眺めているだけだ。
ありさは1年生の時より、ずっとスレてしまった。
鼻と口から煙を吐きながらありさは言った。
ーー若さってさ、カネになるんだよ。
ありさ、こないだおじさんから10万貰ったの。
ファミレスでメシ食って、その後ちょこっとヤっただけでだよ?
普通のバイトなんて、かったりぃよ。
馬鹿馬鹿しいよ!
さも楽しげに言い、吸殻を奈緒子めがけて投げつけた。
それは奈緒子の胸の前で弧を描き、便器に落下した。
ーー何、コイツ…
奈緒子はムッとした。
最近、ありさは次々に変えるオトコとお金の話しかしない。
赤茶に染めたバサバサのロングヘア。
ありさの生活はまだ16歳だというのに、薄化粧では隠せないほど荒れてしまった肌に現れていた。
ーー奈緒子、恵也のとこ行くから!
プイとありさから顔を背ける。
なるべく不機嫌に見えるように、さっさと立ち去った。