Breathless Kiss〜ブレスレス・キス


横浜支社に戻った尚哉は、多忙を極め、さらに逢う機会が減った。

この2年は、ふた月に1度の逢瀬がやっとだ。


アヤネが言い出して、時々、フェイスタイムを使って会話したり、努力はしていたけれど。

それすら尚哉は、あまりやりたがらなかった。


付き合い始めた頃から、彼はマイペースで、自分から積極的に逢う機会を作ろうしなかった。


尚哉の都合を尋ね、自分の仕事の休みを調整して逢う時間を作るのは、いつもアヤネのほうだった。


遠距離恋愛が始まったばかりの頃は、
アヤネが仕事を辞めて、上京する話もあった。

けれども、アヤネには、地元を離れる
勇気がなかった。


そして、いつの間にか時が経ち、尚哉の方は、その距離感に慣れてしまったのか、何も言わなくなった。


元々、尚哉は淡々とした性格だ。


それでも、上京すれば、車を出して、湘南へドライブに連れて行ってくれたり、ウィンドウショッピングして服やアクセサリー買ってくれたりして、アヤネを喜ばせてくれた。


夕飯の後は、新横浜に戻り、尚哉がアヤネの為に取ってくれたホテルの部屋で愛を交わすのが常だった。


アヤネの本音は、尚哉の住むマンションに行きたかった。

しかし、そこは会社の独身寮で、『同僚の目がうるさいから、彼女を連れて帰りたくないだよね』と、やんわり却下された。


内心、面白くなかったけれど、20代前半のアヤネはまだ結婚を焦る気もないし、しつこくして嫌われたら大変だ。



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