Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
美味しいスペインワインを尚哉に勧められて飲んだから、アヤネの頬は火照ってしまっていた。
これから、部屋に入り、2人で熱いシャワーを浴びる。
そして、久しぶりに尚哉の……
そんなことを考えていたら、アヤネの下半身が疼いてきた。
ーー…こんなんじゃ、下着を脱がされた時、尚哉にからかわれてしまう…
もう、こんなになってるの?
とか言われて。
アヤネがモジモジと脚を組み替えた時。
誰がか、ポンッとアヤネの肩を叩いた。
『ギャッ……!あんた!
こんなとこで、なんしょうるんね⁈』
振り向いたアヤネは、思わず、広島のイントネーションで叫んでしまった。
『ヤア』
そこに頭を掻くポーズをして、立っていたのは、〈普段使い〉の小川学だった。
アヤネはバッと立ち上がり、学の腕を掴んで、尚哉からは見えないロビーの片端に引っ張った。
『どういうつもり!?
なんで、うちがここにいるってわかった?』
アヤネの声は、つい大きくなる。
通り過ぎる人が何事かと言う目で見るけれど、気にしていられなかった。
『なんでって〜…アヤネがホテルの名前、教えてくれたんじゃろ。
そがぁに、いがりんさんなぁ』
『バカ!今、広島弁、使うな!』
アヤネは思い切り、学を頭を引っ叩いた。
パカン!とかぼちゃを叩いたようないい音がした。
昨夜、仕事が終わった後、学と行きつけのラブホテルに行ったのだ。