Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
この2年間、常に怯えていた。
ある日突然、尚哉が広島の彼女と結婚してしまうかもしれないと。
その恐怖から解放された。
尚哉は、もう誰かのものではない。
湧き上がる嬉しさ。
……それは隠したかった。
人の不幸をそんな風に思うなんていけないことだと分かっている。
でも、止められなかった。
こうなったのは誰のせいでもない。
…………運命だ。
奈緒子は、顔をあげた。
尚哉の眼鏡の奥の真剣な眼差し。
その目は、奈緒子だけを
しっかりと見ていた。