Breathless Kiss〜ブレスレス・キス

◇◇ エピローグ〜あなたに溺れる











スマートフォンの着信音で目が覚めた。


それは、ショルダーバッグの中にあった。

音が大きかったわけでもないのに、奈緒子の耳にはっきり聞こえたのは、やはり神経が昂ぶっているせいなのかもしれない。



横で寝る尚哉は、まだ目覚めては
いなかった。


寝顔を見るのは、初めてではない。
先週の金曜日の夜、カラオケボックスで、尚哉は奈緒子の膝枕で眠ったから。


それは、単なる戯れだった。
でも、これからは違う。


愛しくてたまらない、尚哉の寝顔ーーー
鼻の下や顎にうっすらと髭が目立ち始めているーーーそれは、これから奈緒子の一部のようになるはずだ。


もう眠れそうもなくて、奈緒子はそっとダブルのベッドから抜け出した。


身に着けているのは、紅いパンティだけだった。


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