Breathless Kiss〜ブレスレス・キス


「…やっぱ、歌織はいいママだね…」


スマホをテーブルに置き、奈緒子が再び、窓の景色に目をやった途端、ふわりと温かい息遣いを首筋に感じた。


「キャッ!」


小さな悲鳴をあげ、振り向く。

上半身裸の、下着姿の尚哉が背後にいた。


適度に筋肉の付いた、尚哉の胸と腕。

その愛しい皮膚に、奈緒子は何度も唇と舌を這わせた。
艶かしい触れ合いの記憶。


「おはよう。奈緒子、早起きだね」


「うん…疲れてたから、眠りが深かったの。熟睡しちゃった。
おかげですっきりした!」


「そんなに疲れたの?なんで?」


尚哉の質問をエロティックに感じて
「もう!尚哉」と笑いながら軽くひじ鉄の真似をする。

尚哉も笑いながら、奈緒子の腰を軽く抱いた。


尚哉に素顔を見られるのは初めてだ。

化粧をした顔とはギャップがかなりある。

奈緒子は恥じらい、伏し目がちに言った。


「やだ、すっぴん、自信ない…
あんまり見ないで」

「奈緒子のすっぴんなんて、15年前から知ってる。変わってない。綺麗だよ」


奈緒子の耳元で囁いた。

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