Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
「…う〜ん………ん?」
……愛し合う?
私とあんたが…?
ええええっ!!!
ちょっと、ちょっと待って?
いつの間にか、胸触ってる!?
イヤだあ〜!!
突然、スッと襖が開き、白熱灯の
明るさが、奈緒子のいる部屋に飛び込んできた。
「きゃっ!」
突然の光が目に染みて、奈緒子は小さく悲鳴を上げた。
反射的に、ばっと上半身を起こす。
奈緒子があまりにも勢いよく起き上がったので、奈緒子の身体の上に跨るようにしていた斎藤の顔面と自分の額を
「がしん!」と思い切りぶつけた。
「痛あっ!」
強烈な痛みで、奈緒子から一気に酔いと
眠気が吹き飛んだ。
「!」
目の前に、イノシシみたいな斎藤の顔がどアップで飛び込んでくる。
斎藤も、「痛ぇ…」と言いながら、眉をしかめている。
斎藤の浴衣の前は、だらしなくはだけ、伸びたランニングシャツが丸見えだった。
奈緒子自身も、自分が浴衣を着ていることに気付く。
「!」
それよりも、もっとすごいことに気付いた。
電気もついていない真っ暗な畳敷きの部屋で、経理課の鼻つまみ者、「斎藤」と、 『正常位』の体勢だったのだ。