Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
煙草の件も、後悔したはずなのに、次の日からまた奈緒子は親に隠れて煙草を吸った。
あれくらいのことでびびってやめたなんて思われたら、ありさにも他の皆にもカッコ悪い、と思った。
恵也は「ドジだねえ」と笑っていた。
「見つかるほうが間抜けなんだよ」
奈緒子は、クラスメイト達の前でうそぶいてみせた。
しばらくして、また奈緒子は問題を起こす。
ゴールデンウイーク開けの月曜日、セミロングの髪を恵也と同じオレンジブラウンに染めて、登校したからだ。
それで、普通に通学出来るわけがない。
すぐに生活指導室に呼ばれ、親にも連絡がいった。
店が忙しくてすれ違いの生活だったから、父と母は、奈緒子が髪を染めたことを知らず、奈緒子のオレンジ色の髪を見て呆然としていた。
大人達に囲まれて、口々に諭されては仕方ない。
「分かったあ。髪を黒くするよ」
素直に約束をした。
でも、黒髪に戻るのは、束の間。
またしばらくするとカラーリングする。
また散々注意され、また黒くする。
これの繰り返しだった。
奈緒子の髪はボロボロに痛み、地毛の色が本当に茶色くなった。