Breathless Kiss〜ブレスレス・キス


中三の秋から、からりと変わった奈緒子の洋服の趣味。


それまで、奈緒子はパステルカラーやフリルが好きで、黒やゴールドやスパンコールが付いたものなど決して選ばなかった。



派手なプリント柄の、やたら濃いピンクのトレーナーに、黒いミニスカート、黒いラメ入りのストッキング。

それに、金色のピンヒールを
合わせたりする。


それは恵也の好みだ。

生活指導の先生や担任の先生に反抗的な態度をとり、授業を中断させ、クラスメイトに迷惑を掛けた。


でも、気にしなかった。

おしゃべり。
弁当の早食い。
こっそり、イヤホンで音楽を聴く。

授業中に抜け出し、コンビニに行く。

宮田ありさと子供のいたずらみたいな
ことばかりしていた。


気が小さい奈緒子は、一人では出来ないことも、誰かと一緒ならやってしまった。



放課後は、コンビニの前にしゃがみ込み、お握りや菓子を食べながら、恵也や仲間達のおしゃべりを聴いて大笑いする。


なんでもない、そういうことが楽しかった。


夜の外出も増えた。


「友達の家で勉強する。」

そう言って、夜12時近くになってやっと帰宅する。

奈緒子の両親は娘の異変をわかっても、やはり強く叱ったりしなかった。


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