Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
宇宙人の二本ずつある手足は、まるで
タコみたいに吸盤がたくさん付いている。
絵の上には、恵也独特のヨレた文字で、
『発情ちゅういほう発令中』
と馬鹿げたコメント。
「やだあ、何これ!」
慌ててノートを閉じて、恵也に押し返した。
「溜まっちゃって….口でしてよ。
ちょっとだけ。お願い!」
恵也は両手を合わせ、上目遣いに懇願する。
「えっ!」
奈緒子は目を見開き、慌てて両手を横に振った。
「え〜そんなんやばいって。
看護師さんがいきなりカーテン開けちゃったらどうするの?
検温でーす、とか言って。
見られちゃったら超恥ずかしいし〜
無理無理。絶対〜」
奈緒子が笑って誤魔化そうとするのに、恵也は強引に奈緒子の手を引き、耳元で囁く。
「検温なんて来ねえし。
奈緒子が、頭から布団被ってやればいいんだよ。
そしたら、カーテン開けられても最悪、奈緒子の顔は見られないじゃん。
つうか、雰囲気で開けねえって。
女が来てるって、わかってんだから…」
「えー……」
躊躇いながら、結局奈緒子は恵也の願いを断り切れなかった。
「……
早くイッてよね!」
言われた通りに、ベッドの掛け布団に頭と背中を突っ込んだ。