Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
こんなに窮屈な思いをするくらいなら、正直いって奈緒子は、やりたくなかったのに。
「奈緒子、ベッドに入れよ。
俺の横に来て…」
回を重ねるごとに恵也の要求はエスカレートする。
「奈緒子、上になれよ…」
そのうちに制服を着たまま、ショーツだけを脱いで、恵也と布団の中で交わるようになる。
目的は、出すことだけだから、恵也は全く我慢せず、ものの数分で果てた。
その瞬間、恵也は堪えきれず、小さな呻き声をたててしまう。
(もう、馬鹿…!)
(…気持ち良過ぎんだよ…)
ヒソヒソ声で会話する。
帰る時、奈緒子が仕切りのカーテンを開けると、同室の入院患者達の視線が冷たい気がした。
男ばかりの病室。
奈緒子は開き直る。
わざと何事もなかったように、しれっとした顔をして歩く。
自分のしていることを棚にあげ、奈緒子がムカついたのは、隣のベッドにいる右腕と頭に包帯を巻いたパジャマ姿の若い男の存在だ。
無精髭を生やした20代半ばくらいのその男は、奈緒子が病室を訪れるとニヤニヤしながら、奈緒子の顔を見るようになった。
『エッチなお嬢さん、こんにちは』と
言っているようないやらしい目付き。