Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
誰にでも過去を振り返り、
「アレはなかったよなあ〜」と苦笑いするようなミスを犯したことがあると思う…
時にそのミスは、人生の汚点となり、くっきりとその人物の過去に黒いシミをつけることになる。
そのシミは大小があり、数もひとそれぞれ。
私、坂本奈緒子の場合、一番消去したい『シミ』に比べれば、婚約者有りの経理課の斎藤と、社員旅行で酔った勢いで、くんずほぐれつの態勢になったことなんか、爪楊枝で突いたくらいの大きさだ。
私の過去で一番大きなそれは……
高校時代「やんちゃだったこと」だ。
もっとストレートにいえば、
「ヤンキー」だったのだ。
家庭環境が複雑で、とか、子供を管理しようとする親や教師に反旗を翻して、とかそんな肝の座った感じじゃない。
彼氏がヤンキーだったせいだ。
…しかもちょっと「エロ」な…
小学生の時から勉強は苦手だった。
情けないことに、どんなテストでも、クラスの平均点より上なんかとれなかった。
運動神経もあまりない。
絵を描く事も全然ダメ。
手先も不器用で、裁縫なんてしようものなら、たちまち指は傷だらけになっちゃう。しかも、出来具合はボロボロ…
でも、性格は真面目だった。