Breathless Kiss〜ブレスレス・キス



奈緒子自身だって、学校には遊びに行ってるようなものなのに。

授業中、教科書も広げず、ノートなんて書きもしない。

たいがい、前の席のありさとしゃべっているか、寝てるかのどちらか。


先生も諦めていた。


放課後は、恵也の家に行きセックスする。
本当に暇さえあれば、裸で絡み合っていた。

終わったら、コンビニに行って、おでんやお弁当を買ってくる。

食べながら、ダラダラテレビ観る。
帰るのが面倒になって、そのまま、泊まってしまう。


朝寝坊して、学校はズル休みする。

外はよく晴れているのに。


「今日はお金ないから、どこにも行けないね…」


「じゃ、何回ヤレるか、記録作ろうぜ」



そんな馬鹿みたいなこといって、一日中、恵也のベッドの上で裸で過ごす。


だらしない、いいかげん、薄っぺら…



そんな毎日なのに。



時々、恵也の友達と奈緒子も一緒に遊んだ。


恵也の仲間たち。

メンバーは入れ替わるけど、人数はだいたい4人か5人。


学校はみんなバラバラだったりする。

恵也の中学時代の同級生は16歳のフリーター。

フリーターの幼なじみで工業高校に通う子。

その工業高校の友達の幼なじみ。
その子の友達。

よくわからない絆だけど、類は友を呼ぶの言葉通りの服装、髪型、言葉遣い。


コンビニの前でたむろして、誰かのお金を当てにして、カラオケに行く。

ゲーセン行く。


たまに女の子がいた。
誰かの新しい彼女。


奈緒子は「ねえ、楽しんでる?」と声を掛け、その場だけ友達になる。

バイバイしたら、名前はすぐ忘れる。


皆、女好きで彼女をすぐ変えるから、名前なんか覚えていられなかった。


奈緒子と恵也は、仲間うちでも珍しい
『おしどりカップル』だった。

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