Breathless Kiss〜ブレスレス・キス


「そんな余計なお知らせ、
いらないよ!
他人事だと思っちゃって!」


奈緒子は大泣きして、尚哉に
八つ当たりしてしまった。


『…悪く取るなよ。
週末、気晴らしに行かないか?』


尚哉は、失恋のショックから立ち直れずにいた奈緒子を遊園地に誘ってくれた。


ちょうどその日、
奈緒子の17歳の誕生日だった。


たった1日だったけれど、尚哉と過ごしたあの1日があったから、奈緒子は、涙を拭うことが出来た。


そして、奈緒子は17歳になったのをきっかけにヒョウ柄やショッキングピンクの洋服を捨てた。


赤や金のパンプスも。

エナメルの赤いハンドバッグも、黒いラメのタイツも。


恵也の思い出があるものは全部。


ピアスをやめ、茶髪も黒く元に戻してボブヘアに切った。


パームツリーの絵柄のフォトフレームに入れた恵也とのツーショット写真。


恵也の傍らには、今は無き恵也の愛車、紫のバイク『パープー号』がいる。



ーーこれ、俺の可愛子ちゃん…


初めてのデートの時、恵也はそういって、もう1人の「彼女」を奈緒子に紹介した。


パープー号がいなくなった時、恵也はものすごく怒ったのに。


自分は簡単に棄てられてしまった。

恵也の意思でポイッと。


バイクより軽い初めての恋。




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