Breathless Kiss〜ブレスレス・キス


小指の赤い糸なんて最初から信じてなかったけど。

やっぱり、ないんだと思った。




「さよなら、パープー号……
今は解体されてきっとバラバラでしょ…ざまあみろ」


奈緒子は、
フッと皮肉な笑いを浮かべる。


フォトフレームをゴミ箱に投げるように突っ込む。


その他のたくさんの写真も捨てた。
想い出などいらなかった。


学校でも外でも、恵也とのエロチックな関係は皆が知っていたから、別れた途端、「スキモノ女」のレッテルが貼られていた奈緒子には、男が何人も寄ってきた。

その中には、顔見知りの恵也の先輩もいた。


心配するふりをしてても、皆、身体目当てだとわかっていた。



淋しさを紛らわす為に寝てしまうことは簡単だったけれど、奈緒子は誰とも付き合わなかった。


遊園地に行った日、
「自分を大切にしろよ」
と言ってくれた尚哉のために。


尚哉がくれたこの言葉は時間が経つごとに奈緒子の心にしみてきた。


守ろう、そして、本当に好きになれる人を探そう、と奈緒子は決意した。


今更だけど…と思いながら、清純そうに見えるファッションや仕草、言葉使いを本や雑誌で研究することに没頭した。



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