Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
悪友ありさとも距離を置いた。
「んだよ!奈緒子、ノリ悪りぃな!」
そんな奈緒子に、ありさは腹を立て罵った。
今まで考えたこともなかった進路についても、考え始めた。
勉強は嫌いだし、お金もかかるから、大学に行く気にはならなかった。
でも、教科の中では一番好きな英語を頑張ってやってみて、日常会話くらいなら出来るよう頑張ってみたい、専門学校に進むのがいいのかもしれない、と考えた。
そんなふうに思えるようになったのも、自分の目標をしっかりと持つ尚哉からの影響だった。
(いつか恵也を見返してやる…!)
女を作り、冷たく去って行った恵也。
無責任な言葉を吐き、奈緒子を傷つけて
帰ってしまった恵也。
(あんたなんかに、負けない!)
卒業証書を抱えた恵也の後ろ姿に
奈緒子は強く思った。
それで、今までの自分を変えることが出来る気がした。
最初は、奈緒子を怖がっていたクラスメイト達も徐々に、話をしてくれるようになった。
恵也がいなくなった後の奈緒子は、ヤンキーだったことが幻のように、ごく普通の高校生として毎日を過ごした。