Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
「別れたのは、二週間くらい前みたいよ。
フったのは、恵也先輩の方らしい。
恵也先輩に女が出来たとかいう噂だよ。
坂本さん、先週の月曜と火曜は学校には来てたけど、授業なんてろくに受けないですぐ帰った。
私もちらっとしか姿見てないけど、
青白い顔して髪とかボッサボサ。
痛々しかったあ。
でも私、坂本さんとはほとんど、口きいたことないんだよね。
住む世界が違うって感じで。
向こうもうちらなんか眼中にないって顔してるし。
綺麗な子だからねー。
恵也先輩と別れてから、すぐにデキル女だって色んな男に狙われてるみたいだよ。
音楽ガンガンの金髪のヤンキーが乗った車が校門の前で、待ってたりとかさあ」
「へえ、そうなんだあ…」
歌織は、口の中のあんぱんをペットボトルのミルクティーを流し込んだ…
中学時代の親友、坂本奈緒子。
三年生に進級して同じクラスになり、
歌織とは正反対なタイプの奈緒子と1番の友達になった。
奈緒子は、痩せてて気の弱そうな女の子だったけど、よく見ると結構可愛い顔をしていた。
『今は地味だけど、大人になったら、
綺麗になるだろうな』
って思うような子。