Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
土日も関係ない忙しい仕事の親を持った奈緒子は、家で留守番をしながら、自由気儘にやっていた。
漫画、ゲーム、テレビ、パソコン。
PHSも買ってもらっていた。
親に勉強しなさいとか、成績のことを言われたことが今まで一度もないって。
それも歌織には羨ましかった。
歌織のお母さんは、結構勉強しろとうるさかった。
どこでもいいから、お金のかからない公立高校に入れって。
娘の学力なんて、とうに分かってるんだから、無理強いしないで欲しかった。
あの頃、よく休みの日は奈緒子の部屋で一緒に遊んで、昼過ぎに二人であんのん亭に行って、ラーメン食べた。
奈緒子の親、おじさんとおばさんもすごくいい人だった。
一応、お財布出す振りするけど、
「歌織ちゃんからはお金貰えない」っておばさんが言っていつもご馳走してくれた。
帰りには、家族連れの小さい子にしか配らないミニアイスキャンディを歌織にくれた。
…‥それなのに、奈緒子がぐれちゃって、おばさん、本当に可哀想だったなあ。
奈緒子に最後に会ったのは、
高1の秋だった。
ちょうど1年前。