Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
せっかく奈緒子と会うのに、あんなヤンキーが占拠しているなんて…
そう思いながら、仕方なく、あのヤンキー女の視界に入らない公園の入り口で、待つことにした。
10分過ぎても奈緒子は来ない。
時間には正確な子だ。
もしかして、事故?と不安になる。
ふと思いつく。
いや、まさか。
もしかして、あのオレンジの髪の女…
いや….いくら何でも。
でも、もしかして…
「あー!奈緒子ぉ。元気だった?
やだあ!ごめん。時間通りに来たんだけど。変な場所で待っちゃってさあ」
なんと、ヤンキー女は奈緒子だった…!
両手を振って、奈緒子の方へ歩み寄る。
出来るだけ満面の笑みを作りたかったけれど、ちょっと無理だった。
引き攣ってしまった。
…奈緒子の変わり様に。
こっちは、気を使ってやってるのに、奈緒子はあまり表情を変えなかった。
手も振ってくれなかった。
歌織は少し、ムッとした。
ベンチは空いているのに、なぜか立ち話。
「おじさんとおばさん、元気?
お店どう?」
話の掴みにそんな質問をしてみた。
本当はそんなに興味なかったけど。
「ねー、それにしても奈緒子ってば、
結構変わったよね。誰かと思ったあ」