Breathless Kiss〜ブレスレス・キス
「お疲れ様〜歌織!
また今度ね。お休みぃ!」
「うん、じゃあね〜
明美、気をつけてね!お休み!」
スーパーのバイトが終わった歌織は、夜道を歩きながら、さっきまで一緒だった吉田明美が言っていたことを思い出す。
ーーそんでさ、坂本さん、恵也先輩にフラれたショックで、今週はずっと学校、来てないね。
恵也先輩はちゃんと登校してるみたいだけど。
本当、手のひら返したみたいに冷たくしてて、ちょっと酷いよね。
目立つカップルだったから、学校中の噂になってる……
坂本さん、どうすんだろ。
このままだと留年しちゃうかもね…
帰宅した歌織は、学習机に向かって
考え込む。
明日、英語の単語のテストがあり、一夜漬けするつもりだったのに、気が散ってうまくいかなかった。
……夏祭りなんて、
行かなければよかったな。
そしたら、奈緒子が恵也と出逢うこともなかったのに。
どうしたらいいんだろう。
…奈緒子は今でも悪い子なんかじゃない。
…奈緒子が取り返しのつかないことに
なってしまったら…
鼻がつん、として詰まり、涙がポロッと出てきた。
…あっ……
そういえば、今度の日曜…
奈緒子の誕生日だ…
それなのに、ボロボロで奈緒子、可哀想……
…そうだ……!
勇気を出して、電話して相談してみようかなあ…
…藤木尚哉に。