花送り―宗久シリーズ番外―
1
春、桜が舞う季節に、あの人に出会った。
まるで穏やかな日差しの様に、私の暗い闇の世界の中を、あの人は照らしてくれたんだ。
少しはにかんだ笑顔が優しくて、穏やかで………。
男にしては綺麗な顔立ちのその人の声は、容姿とは対照的な低めのバリトン。
でもそれは好対照で、逆に色気がある印象。
口調もまた声とは対照的で、滑舌が良くて、健康的なテンポで……けれど、大空に円を描いて飛ぶ、鳶の様な気高さがあった。
「新任の新庄宗久です。この度、クラス担任を受け持つ事になりました」
その人はそう名乗り、少し緊張していたのか、よろしくと照れた様に笑いながら………。
教室の隅、隠れる様に居た私に、笑いかけてくれたんだ。
初めてだった。
私に、笑いかけてくれる人…………。
身体中の力が、抜けていく感覚がした。
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まるで穏やかな日差しの様に、私の暗い闇の世界の中を、あの人は照らしてくれたんだ。
少しはにかんだ笑顔が優しくて、穏やかで………。
男にしては綺麗な顔立ちのその人の声は、容姿とは対照的な低めのバリトン。
でもそれは好対照で、逆に色気がある印象。
口調もまた声とは対照的で、滑舌が良くて、健康的なテンポで……けれど、大空に円を描いて飛ぶ、鳶の様な気高さがあった。
「新任の新庄宗久です。この度、クラス担任を受け持つ事になりました」
その人はそう名乗り、少し緊張していたのか、よろしくと照れた様に笑いながら………。
教室の隅、隠れる様に居た私に、笑いかけてくれたんだ。
初めてだった。
私に、笑いかけてくれる人…………。
身体中の力が、抜けていく感覚がした。
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