花送り―宗久シリーズ番外―
「………君の名前は紫花子(しかこ)……紫陽花の季節に生まれたから、そう名付けられたんだよ?」
声……。
優しい声。
温かい体温。
頭を抱えてうづくまる私を、先生の腕が包み込んでくれていた。
痛みを、張り裂ける心を、両手で受け止めてくれるかの様な温もり……。
「紫陽花が、君の名前を教えてくれたんだ」
そう……か…。
紫陽花は、いつも私を慰めてくれたから。
私が語り掛けると、細い枝を微かに揺らせて、返事をしてくれた。
私が話すのは、この紫陽花の前でだけだったんだ。
「……………ごめんな」
包まれた腕の中、震える先生の声が、耳元で響いた。
「救ってあげられなくてごめんな。生きていた頃の君に、何もしてあげられなくて…………ごめんな」
温かい雫が、私の痛みに染み込んできた。
先生?
泣いているの?
先生のせいじゃないよ?
私が死んだのは、十年も前だもの。
先生が謝る事なんて、一つも無いんだよ?
.
声……。
優しい声。
温かい体温。
頭を抱えてうづくまる私を、先生の腕が包み込んでくれていた。
痛みを、張り裂ける心を、両手で受け止めてくれるかの様な温もり……。
「紫陽花が、君の名前を教えてくれたんだ」
そう……か…。
紫陽花は、いつも私を慰めてくれたから。
私が語り掛けると、細い枝を微かに揺らせて、返事をしてくれた。
私が話すのは、この紫陽花の前でだけだったんだ。
「……………ごめんな」
包まれた腕の中、震える先生の声が、耳元で響いた。
「救ってあげられなくてごめんな。生きていた頃の君に、何もしてあげられなくて…………ごめんな」
温かい雫が、私の痛みに染み込んできた。
先生?
泣いているの?
先生のせいじゃないよ?
私が死んだのは、十年も前だもの。
先生が謝る事なんて、一つも無いんだよ?
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