花送り―宗久シリーズ番外―
私はいつも淋しかった。




相変わらず皆は、私に話し掛けてくれない。


なのに、学校から離れられない自分も嫌だったの。







いつも教室の隅で、校庭だけを見つめてた。




何年も、何年も…ただ、景色だけを見つめて。




ずっと誰にも気付いてもらえないまま、そうして過ごしていたの。












初めてだったんだ。






そんな私に気付いて、笑いかけてくれた人………。









先生だけだったの。












先生、先生。





私、ホントにね?













好き、だったんだ。









先生が、大好きだったの。






先生の笑顔も、バリトンの声も、広い背中も、何気ない仕草も……。




照れて頭を掻く癖も、悩みながら指先でこめかみを撫でる癖も、困った時に見せる眉間のシワも、黒板の上で踊るチョークを握る指も………。







全部、全部、大好きだった。




好きで好きで、大好きで……。






見ているだけで胸が一杯になって……いつも泣きそうになってたんだよ。




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