花送り―宗久シリーズ番外―
でもね、一番好きだったのは先生の瞳。



吸い込まれそうな、少し潤んだ先生の黒い瞳。






私の全てを、存在を、許容してくれる様な優しい眼差しが大好きだったの。









先生は、始めから気付いていたんだね?




私がここに居る理由に。






だからあんなに優しく、見つめてくれていたんだね。

包み込む様に、慈しむ様に……優しい先生からの、無条件の愛だったんだね。









恋じゃなくても、いいよ。




嬉しかったの。


気付いてくれた事が、ただただ、嬉しかったから………。









「ありがとう……先生」








先生は、顔を上げた。





涙で潤んだ瞳で、じっと私を見つめながら……あぁ、思った通り、君の声は美しいねって、そう言って……。




今までで、一番綺麗な笑顔を見せてくれたんだ。






私も、自然に笑えた。



私はまだ、笑えたんだ。





先生……教えてくれてありがとう。









やっぱり、女の勘は当たるんだね。



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