花送り―宗久シリーズ番外―
だって私は、いつも一人。







一言も声を出さずに過ごすなんて、ほぼ毎日。





自分の声がどんなかなんて、忘れそう。






どうせ、誰も私を見ないから。










でも、先生は違ったんだ。



私を見て、笑ってくれた。








整った綺麗な顔をやんわりと崩して、オニキスみたいな黒い瞳を細めて、そうして私だけを見てくれた。





眩しくて……見とれるくらいに綺麗で……。





そのまま身体が、浮遊する様だった。










恋してしまうのは、必然。






クラスの皆みたいな、浮足立った気持ちじゃないの。









先生と生徒。





有り得ないかな?









でもね、新庄先生。










私にとっては、初対面で見せてくれた先生の笑顔が全てなんだよ?





この息詰まった世界から、私を救い出してくれる人だって、そう直感したんだよ?








あの笑顔が全て……。








女の勘は当たるんだから。





.
< 4 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop