花送り―宗久シリーズ番外―
先生が好き。



近くに居たい。










でも私は内気で…。



人と話すのが苦手で…。




そんな自分の性格を、先生に恋した時から思い知らされる。









見ているだけで精一杯。




黒板に文字を刻んでいく先生の背を、見つめる事しかできなくて……。









屈託無く先生に話しかけて隣に立てる皆が、羨ましいと感じる。










「え〜…と、この辺は来週の実力テストに出すから、復習しておく様に」









よく通る先生のバリトンは、午後の暖かい日差しが差し込む教室の空気に、とてもよく溶け込む。



まるで子守唄みたい。









「はい!先生に質問!」






先生の子守唄に割って入ったのは、クラスメイトの高い声。




ああ…先生を気に入っている女子の一人だ。



いつも先生を見つけては、色々と会話を持ち掛けたりしてる。





私のライバル…になるのかな。






気を引きたい生徒からのあからさまな行動にも、いつも先生は真摯に対応する。






鈍感なのかな?


そんな所も魅力だけど。


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